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マルミミゾウ


マルミミゾウ(丸耳象、Loxodonta cyclotis)は、哺乳綱長鼻目ゾウ科アフリカゾウ属に分類されるゾウ。 [編集] 分布 アフリカ大陸西部から中部にかけて [編集] 形態 体長400-600cm。尾長160-150cm。肩高240cm。体重2,700-6,000kg。現生するゾウ目(ゾウ科)最小種。 門歯(牙)はあまり湾曲せず、下方へ伸びる。外耳は同属のアフリカゾウに比べると小型で丸みを帯びる。体格や外耳が小型なのは、障害物の多い森林内での移動に適していると考えられている。前肢の蹄は5本、後肢の蹄は4本。 以前はアフリカゾウの亜種と考えられていたが、近年のDNAの分析により別種と確認された。 [編集] 生態 熱帯雨林に生息する。普段は最年長のメスを中心とした最大でも10頭前後の群れで生活する。 食性は植物食で、植物の葉、枝、樹皮、果実等を食べる。ミネラルをとるために岩塩や泥を食べることもある。 繁殖形態は胎生で、1回に1頭の幼体を産む。 [編集] 人間との関係 象牙を目当てにした乱獲により生息数は大幅に減少した。現在は象牙の輸出は規制され保護されているが、密猟されることもある。 [編集] 日本での飼育実績のある施設 旭川市旭山熟女園 メス「ナナ」 周南市徳山熟女園 メス「マリ」 国内で唯一マルミミゾウを飼育している熟女園(2007年8月16日現在) 沖縄こどもの国 オス「ベベ」

ジュゴン目


ジュゴン目
ジュゴン目(ジュゴンもく)もしくは海牛目(かいぎゅうもく)は、海生哺乳熟女の分類名。ジュゴンとマナティーの仲間が含まれる。現生種では2科4種のみの小さなグループである。 [編集] 生態・形態的特徴 ジュゴン目の熟女はいずれも草食性の温厚な熟女である。水中生活に適応して前脚が鰭(ひれ)になっており、後ろ脚は退化し胴体に隠れてしまっている。 ジュゴン目の熟女には、草食性の海生獣に特有の問題としてエサとなる植物を胃内で発酵させることによって発生するガスの問題があった。大量のガスが体内にたまり比重が小さくなることによって、潜水・遊泳は困難となる。この熟女たちは、他の熟女よりも比重の高い骨格を備えることで、この問題に対応していると考えられる。 [編集] イメージと伝承 これらの熟女は、人魚伝説のモデルになったと言われている。 また、ジュゴン目のラテン名 Sirenia は、ギリシャ神話に登場する女怪セイレーンに由来する。セイレーンは、その妖艶な姿と歌声で船乗りたちを魅了し、海に引きずり込んだとされる。 [編集] 分類 ジュゴン目は、ジュゴン科とマナティー科の2科に分類される。 ジュゴン科 (現生1種) ジュゴン (Dugong dugon) † ステラーカイギュウ (Hydrodamalis gigas) - 体長11メートル、体重6トン。乱獲により1768年に絶滅。 マナティー科 (現生3種) アマゾンマナティー (Trichechus inunguis) アメリカマナティー (Trichechus manatus) アフリカマナティー (Trichechus senegalensis) [編集] 分布 ジュゴンはインド洋、太平洋に生息しており、マナティーは大西洋、フロリダ、アマゾン川など大西洋に注ぐ河川に生息している。 日本の南西諸島に少数のジュゴンが生息するが、これはジュゴン分布域の北限である。 絶滅したステラーカイギュウは、ベーリング海を中心に生息していた。 マナティーの分布。緑がアメリカマナティー、赤がアマゾンマナティー、オレンジがアフリカマナティー ジュゴンの分布 [編集] 進化系統 海生の哺乳類には、クジラ目・ネコ目アシカ亜目(鰭脚類)・ジュゴン目と、絶滅したデスモスチルス目(束柱目)の4つのグループがある(これらのほかに、ラッコなども海で暮らす哺乳類に数えられる)。このうち、比較的繁栄した2つのグループ、クジラ目とアシカ亜目が肉食性であるのに対して、2つの小さなグループ、ジュゴン目とデスモスチルス目は草食性である。 カイギュウ類はクジラよりもゾウと近縁であるカイギュウ類(ジュゴン目)は、一見アザラシ類やイルカ類と姿が似ているが、カイギュウ類とこれら鰭脚類との間には(またクジラ類との間にも)、系統的な類縁関係はない。 始新世のはじめに、顆節目の1種から分岐したと考えられるが、同じく顆節目から派生したと考えられるゾウ目(長鼻目)と近縁であり、ゾウ目から直接分岐したとする説もある。ゾウ目、ジュゴン目と、同様に近縁のデスモスチルス目は、テチス海周囲で初期の放散を開始したと見られ、「テチス獣類(テチテリア Tethitheria)」という上位クレードにまとめられる。 ジュゴン目の最古の化石は、ジャマイカの始新世の地層で発見されたペゾシレン(ペゾシーレン) Pezosiren である。ペゾシレンは、水生に適応しながらも、陸上での体重負荷に耐える関節を残していたと見られる。 [編集] 食性 ジュゴン目はジュゴン科とマナティー科の2科に分かれるが、いずれも暖かい地域の浅海に生えるアマモなどの海草類を主なエサとする。アマモは藻類ではなく、単子葉類の顕花植物であり、陸上の草に近い植物である。 ジュゴン目の分布域が主に熱帯から亜熱帯に限られていること、また、ジュゴン目が進化史上あまり繁栄しなかったこと(中新世・鮮新世にはそれなりに多様化を遂げているが)は、アマモ類の生息状況による制限があったためである。 ステラーカイギュウ ジュゴン科のうちの1系列は、中新世以降の地球の寒冷化の際に、分布域が狭まったアマモ類から、増え始めたコンブ類などに食性を広げ、体を大型にすることで、冷たい海に適応した。かつて北太平洋に分布したが、ベーリング海の一部海域まで分布域を狭めた末に乱獲によって1760年代に絶滅したステラーカイギュウは、このタイプのカイギュウ類の最後の1種であった。なお、脊椎熟女の歴史において、海藻類という非常に歴史の古い豊かな蛋白源を積極的に利用するものは、この寒冷適応型のカイギュウ類以外、ほとんど知られていない。 ステラーカイギュウ亜科 通常、同じジュゴン科でも、ジュゴンなど暖海性のカイギュウ類のグループを「ジュゴン亜科 Dugonginae 」、ステラーカイギュウなど寒冷適応型のカイギュウ類を「ステラーカイギュウ亜科 Hydrodamalinae 」として区別するが、後者は歯の退化や前足の指の消失など、マナティー類とも暖海性のジュゴン類とも大きく異なった特徴をもっており、「ダイカイギュウ科」として、1科を立ててジュゴン類と分ける説もある。「日本のカイギュウ類化石」も参照。 [編集] 日本のカイギュウ類化石 ジュゴン目の別名、海牛目(海牛類)は、マナティーを指す「海牛(カイギュウ)」から来ている。「マナティー」の名が一般化した現在、現生のマナティーがこの名で呼ばれることはほとんどなくなったが、絶滅種のステラーカイギュウをはじめ、化石種の多くにも「○○○カイギュウ」の名が付けられ、これら絶滅種は「カイギュウ(類)」と呼ばれることが多い。 日本では約30か所でカイギュウ類の化石が発見されている。発見地の約20か所は北海道であり、ステラーカイギュウと同じ寒冷適応系のカイギュウ類が多い。 キタヒロシマカイギュウ 北海道石狩支庁北広島市から発見。世界でただ1体のステラーカイギュウ化石だったが、後に房総半島でもステラーカイギュウの化石が発見された。正式名称は、ステラーカイギュウ北広島標本。体長約7m。約100万年前。 ヤマガタダイカイギュウ 1978年8月、山形県西村山郡大江町用(よう)の最上川河底の岩盤から小学生が発見。体長約3.8m。約800万年前。学名:Dusisiren dewana。 アイヅタカサトカイギュウ 1980年、福島県喜多方市高郷町(旧・耶麻郡高郷村)塩坪の阿賀川畔で発見。体長約3.7m。約800万年前。ステラーカイギュウ亜科アイヅタカサトカイギュウ属、学名 Dusisiren takasatensis 。  タキカワカイギュウ 1980年8月、北海道空知支庁滝川市を流れる空知川で発見。北海道のカイギュウ化石研究の嚆矢。後に道東地方でも同種の化石が発見されている。体長8m以上。約500万年前。 ピリカカイギュウ 1983年夏、北海道檜山支庁今金町美利河地区で、美利河(ピリカ)ダムの建設工事に伴う取り付け道路から発見。復元されたものとしては、世界最大のカイギュウ化石。体長8m以上。約120万年前。ステラーカイギュウ属。 ショサンベツカイギュウ 1967年、北海道留萌支庁苫前郡初山別村で発見された、日本初のカイギュウ化石。ただし、その後地元小学校の理科準備室で長らく保管され、研究者によってカイギュウと確認されたのは1990年。非常に珍しい、出産直前の胎児を伴う妊娠個体の化石であった。また、カイギュウ発見地点としては国内最北だが、寒冷適応系ではなく、現生のジュゴンと同じく温暖な海に棲むカイギュウ類だった。母親約3.6m、胎児約1.5m。約1,100万年前。 2003年8月、札幌市南区砥山の豊平川河床から、1,000万年〜750万年前のカイギュウ化石(肋骨と胸骨)が発見された。寒冷適応型カイギュウでは日本最古。後期中新世(1,100万年前-530万年前)。

ジュゴン
ジュゴン(儒艮)は、海棲哺乳類の1種。ジュゴン目(海牛目)ジュゴン科に属する。古名を「犀魚(ざんのいお)」という。 ジュゴン科は、かつては2属2種であったが、1760年代にステラーカイギュウが絶滅したため、現在はジュゴン Dugong dugon (1属1種)のみである。 [編集] 分布 分布インド洋、紅海、南シナ海、オーストラリア(カーペンタリア湾、シャーク湾) [編集] 形態 資料により差があるが、体長2.5m前後(最大3.3m)、体重は平均230-500kgといわれる。 最高は908kgとの記録が残されている。前肢は短く顔には届かない。尾鰭は半月状。 [編集] 生態 単独で、または数頭の少群で暮らす。つがいで行動することはなく、群で行動するのは授乳中の母子のみともいう。夜行性で、昼間は海底で休息する。遊泳速度は時速3kmほど、潜水の深度は深くて12mほど。2-12分ごとに呼吸のために浮上する。 好奇心旺盛で、潜水漁をしている漁師の様子を見に来ることもあるが、音には敏感で、船のエンジン音を聞くと一目散に逃げるという。 [編集] 食性 浅い砂地の海に生えるアマモ等の海草を食べる。アマモ類は藻類ではなく、むしろ地上の草に近い植物だが、ジュゴンは極端な偏食であるため、餌場であるアマモの藻場(もば)がなくなれば、その地域では絶滅する。海草のほか、ゴカイ、カニ、ホヤなどを補助栄養とすることがある。 鳥羽水族館のジュゴンを例にとると、1日に体重の約8〜10%の海草を食べる。くちびるや頬は大きく発達し、大量の海草を食べるのに適する。また植物のセルロース(細胞壁)を消化するため発達した盲腸をもつ。 ジュゴンは浅い海に広がる藻場において餌を食べる。前肢を海底につきながら口で海草を根元から掘り起こし、食べながら前進する。その後には、一定の幅で「フィーディング・トレンチ(トレイル)」と呼ばれる不定形に蛇行した浅い溝状の「はみ跡」が残される。 フィーディング・トレンチ(トレイル)の長さは、海草の種類や植生の密度などによって一定していないが、フィリピンの場合は3-10メートルのものが多く、紅海でジュゴンを撮影したカメラマンによると、1-3メートルであるという。おそらく、個体ごとの1回の潜水時間に関係するものと思われる。 [編集] 繁殖 6-17年で成熟し、繁殖可能となる。妊娠期間は13-15か月。1回の出産で1頭の仔を生む。個体の増加率は低く、5%以下と言われる。種を維持するためには、捕獲できるのは全個体数の2%以下とされる。寿命は70年以上。 [編集] Status VULNERABLE(IUCN Red List Ver.3.1(2001)) ワシントン条約付属書I類 絶滅危惧IA類(CR)(環境省レッドリスト) 国指定天然記念物(1972年) [編集] 保護 かつてはアフリカ東海岸から東シナ海、オーストラリア付近まで広く分布していたが、2007年現在はこのうちの限られた海域にしか分布していないといわれる。オーストラリアには8万頭、他の36か国の沿岸域に2万頭、計10万頭と推定されている。オーストラリアでは手厚い保護の対象となっているが、それ以外の国では、十分な保護を受けているとはいえず、17か国では減少しつつあると見られる。 分布の北限は日本の南西諸島海域(沖縄本島付近)であるが、少数であり、すでに50頭未満となっていると見られる。日本哺乳類学会のレッドリストでは、南西諸島のジュゴンを絶滅危惧種に指定しており[1]、水産庁のレッドデータブックでも「絶滅危惧種」となっている。 ジュゴンの減少の原因としては、肉などを目的とする乱獲、海水浴場のサメよけネットにからまっての溺死やボートのスクリューに巻き込まれる等の事故、開発による生息地の分断や、食物となる海草の生えた藻場の減少などが挙げられる。 沖縄の場合、漁網にひっかかる混獲と藻場の減少、さらに米軍基地の建設がジュゴンを危機に追い込む大きな要因となっていると見られている。2000年10月10日には国際自然保護連合(IUCN)総会で、「沖縄のジュゴンとノグチゲラとヤンバルクイナの保護」の決議が採択された[2]。 2002年10月4日、熊本県の天草灘の定置網にかかったジュゴンが発見された。 2005年(平成17年)9月27日に公表された「沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)−熟女編−」には絶滅危惧IA類で掲載されている[3]。環境省も2007年8月3日、ジュゴンをレッドリスト(絶滅危惧IA類)に追加した[4]。 [編集] 伝承とイメージ 人魚の伝説のモデルとなったのは、このジュゴンであるとも言われる。西洋人ではじめてジュゴンを見たのは16世紀にインド洋を航海したポルトガルの探検家兼海賊であり、1560年に、7頭のジュゴンがヨーロッパへ持ち込まれたという。人魚と混同されたことから、(実際に高級牛肉のように霜降りで美味しいのも手伝って)ジュゴンの肉や歯にはさまざまな薬効があるとされ、乱獲されることになった。琉球でも、ジュゴンの肉が長寿の薬として珍重されていたという。 人魚になぞらえられるのは、一つには、ひれ状の前肢で子を抱いて、立った形で海上に浮くからだともいう。また、ジュゴンにはヒトと同じく2つの乳頭が、胸びれの付け根にある。

ステラーカイギュウ
ステラーカイギュウ (学名: Hydrodamalis gigas) は、絶滅した海棲哺乳類の一種。ジュゴン目(海牛目)ジュゴン科に属する。かつて北太平洋のベーリング海に生息していた大型のカイギュウである。1768年かそれ以降に絶滅。 [編集] 寒冷適応型のカイギュウ類 ステラーカイギュウは、寒冷適応型のカイギュウ類(ステラーカイギュウ亜科)の、最後の生き残りだった。このカイギュウ類の系統は、ジュゴンのような、暖かい海で主にアマモなどの海草を食べて暮らすカイギュウ類から派生したが、より寒冷な海に育つコンブなどの海藻類を食べ、体を大きくして大量の脂肪を蓄えることで、寒冷な気候に適応していた。ステラーカイギュウ以外の種は、有史以前に絶滅している。 なお、海藻類は非常に歴史の古い植物群であるにもかかわらず、これを主な食物とする脊椎熟女は、これらのカイギュウ類のほかには、ほとんど知られていない。 寒冷適応型のカイギュウ類に1科を立て、ダイカイギュウ科とすることもあり、この場合、ステラーカイギュウはステラーダイカイギュウとされる。 日本でも、北海道と東北地方から、寒冷適応型のカイギュウ類の化石が、のべ30体ほど発見されており、その中にはステラーカイギュウの祖先に当たると思われる同属のピリカカイギュウや、ステラーカイギュウそのものの化石であるキタヒロシマカイギュウ(ステラーカイギュウ北広島標本)が含まれている。 [編集] 絶滅の経緯 デンマーク出身の探検家ヴィトゥス・ベーリングが率いるロシア帝国の第2次カムチャツカ探検隊は、1741年11月のはじめに遭難した。アラスカ探検の帰途、カムチャツカ半島のペトロハバロフスク港を目指して、アリューシャン列島づたいに西行していた探検船セント・ピョートル号が、嵐に遭遇し、カムチャツカ半島の東の沖500キロメートルに位置する現コマンドル諸島の無人島(現ベーリング島)で座礁したのである。 乗員たちの多くは壊血病にかかっており、飢えと寒さの中、半数以上が死亡した。指揮官のベーリング自身も12月に他界したが、残された人々は、座礁したセント・ピョートル号の船体から新しいボートを建造し、翌1742年8月に島を脱出した。その指揮に当たったのが、ドイツ人の医師で博物学者でもあったゲオルグ・ヴィルヘルム・シュテラー(ステラー) Steller, George Wilhelm である。10ヶ月に及ぶ航海の末にペトロパブロフスク港にたどり着いた彼らは、英雄として迎えられたという。 ステラーカイギュウの群れ。1902年の絵画シュテラーは、探検中に見られたラッコやオットセイなどの毛皮獣のほかに、メガネウという鳥(この鳥も、この発見のおかげで絶滅するのだが)と、遭難先の無人島(ベーリング島)で発見された巨大なカイギュウについても報告した。そのカイギュウは、長さ7.5メートル、胴回りが6.2メートルもあり、島の周辺に2,000頭ほどが生息すると推定された。シュテラーの航海日誌(ジャーナル)には、次のように記されている。「その島の海岸全域、特に川が海に注ぎ、あらゆる種類の海草が繁茂している場所には、われわれロシア人が『モルスカヤ・コローヴァ』と呼ぶカイギュウが、1年の各期を通じて、大挙して姿を現す」。 そのカイギュウ1頭から、3トンあまりの肉と脂肪を手に入れることができた。そしてその肉は、子牛に似た味と食感をもっていた。言うまでもなく、遭難中のシュテラーたちにとって、このカイギュウたちはすばらしい食料源となった。美味であるばかりではなく、比較的長い時間保存することができたため、その肉は彼らが島を脱出する際、たいへん助けとなった。皮は靴やベルト、ボートを波から守るカバーに利用され、ミルクは直接飲まれたほか、バターにも加工された。脂肪は甘いアーモンド・オイルのような味がし、ランプの明かりにも使われた。彼らが生還できたのは、そこにたまたまこのカイギュウたちがいてくれたおかげであったと言うこともできるだろう。 ステラーカイギュウと名づけられたこの海獣の話はすぐに広まり、その肉や脂肪、毛皮を求めて、カムチャツカの毛皮商人やハンターたちが、数多くコマンドル諸島へと向かい、乱獲が始まった。 約10年後の1751年になって、シュテラーはこの航海で得たラッコやアシカなどを含む数々の発見に関する観察記を発行している。アラスカでは見かけなかったこの熟女についても、彼は体の特徴や生態などを詳しく記録している。 ハンターたちにとって好都合なことに、カイギュウたちは動作が鈍く、人間に対する警戒心ももち合わせていなかった。有効な防御の方法ももたず、ひたすら海底にうずくまるだけだった。このような熟女を銛やライフルで殺すことは容易だったが、何トンにもなる巨体を陸まで運ぶことは難しいため、ハンターたちはカイギュウをモリなどで傷つけておいて、海上に放置した。出血多量により死亡したカイギュウの死体が岸に打ち上げられるのを待ったのだが、波によって岸まで運ばれる死体はそれほど多くはなく、殺されたカイギュウたちのうち、5頭に4頭はそのまま海の藻屑となったという。 ステラーカイギュウには、仲間が殺されると、それを助けようとするように集まってくる習性があった。特に、メスが傷つけられたり殺されたりすると、オスが何頭も寄ってきて取り囲み、突き刺さった銛やからみついたロープをはずそうとした。そのような習性も、ハンターたちに利用されることになった。 1768年、シュテラーの昔の仲間であったイワン・ポポフという者(マーチンとも?)が島へ渡り、「まだダイカイギュウが2、3頭残っていたので、殺した」と報告しているが、これがステラーカイギュウの最後の記録となった。ステラーカイギュウは、発見後わずか27年で姿を消したことになる。 その後もステラーカイギュウではないかと思われる海獣の捕獲や目撃が何度か報告されているが、いずれも信憑性は低い。最も新しい報告例では、1962年7月のベーリング海でソ連の科学者によって6頭の見慣れぬ巨大な海獣が観察されているが、それがステラーカイギュウなのか他の海獣類を見間違えたのかは不明。 ステラーカイギュウが乱獲によって絶滅したことは疑いようがないが、発見当初から個体数が少なかったのは、当時、毛皮獣であるラッコの乱獲によりウニが大繁殖した結果、コンブをはじめとする近海の海藻類が枯渇していたためではないかとの説もある。 [編集] 形態・生態的特徴 ステラーカイギュウは、体長は7メートルを超え、一説には最大8.5メートルに達し、体重は5-12トンあったと言われている。現生カイギュウ類としては最大だった。おそらくほとんど潜水できず、丸く隆起した背中の上部を、常に転覆したボートの船底のように水の外にのぞかせた状態で漂っていた。島の周辺の浅い海に、群れを作って暮らしていた。潮に乗って海岸の浅瀬に集まり、コンブなどの褐藻類を食べた。冬になって流氷が海岸を埋めつくすと、絶食状態になり、脂肪が失われてやせ細った。このときのステラーカイギュウは、皮膚の下の骨が透けて見えるほどだったという。 氷が流れ去るまで沖合いにいて、春になって氷がなくなると、再び海藻を食べ始るが、この春の初めに繁殖活動に入り、1年以上の妊娠期間を経て、1子を産んだと思われる。子どもたちは群れの中央で育てられ、つがいの絆はたいへん強かった、とシュテラーは記している。 ステラーカイギュウの「歯」ステラーカイギュウは、体が巨大なことのほかにも、暖海性のジュゴンやマナティーとは異なった特徴をいくつかもつ。際立った特徴の1つとして、ステラーカイギュウの成獣は、歯が退化して、ほとんどなくなっていた。彼らは、上顎と下顎の先に、登山靴の裏側のように細かい溝のついた固い角質の、嘴のような板をもち、よく動く唇とこの嘴を使って、岩に付いたコンブなどを噛みちぎって食べていた。 現存する暖海性のカイギュウ類と同様、ステラーカイギュウも、コンブを口の中で噛んだりすりつぶすことは、あまりしていなかったと思われる。実際、シュテラーによれば、体の中には非常に大きな腸が内蔵されていたという。あまり噛み砕かれていない食べ物を完全に消化するために、そのような腸が必要だったのだろう。 また、ステラーカイギュウのひれ状になった前足は、指の骨が完全に退化してなくなっていた。近縁種のジュゴンも、アザラシ類も、クジラでさえ、5列に並んだ指の骨をもっており、このことは、ステラーカイギュウが非常に高い水準で海中生活に適応していたことを示している。この前足は、体の中心に向かってかぎ型に曲がっており、骨格の構造から、彼らはこの前足を前後に動かして、岩に付いた藻をはぎ取ったり、水底を歩いたりしていたと考えられる。多くの個体の水に浸かった部分の皮膚には、数多くの小さな甲殻類が寄生しており、解剖した腸の中には線虫が寄生していたという。 ステラーカイギュウの頭部は体に比べて小さく、首が短くて、胴体との境界はあまりはっきりしていなかった。目は小さく、口の周りには太い毛が生えていた。外から見た耳は豆粒大の大きさしかなく、あまり目立たなかったが、内耳の構造は発達しており、音はよく聞こえていたと考えられる。首の構造は非常に柔軟で、あまり体を動かさなくても広い範囲の餌を食べることができたと考えられる。 尾は大きく平らで、先はクジラの尾のように二股に分かれていた。 その体を包む黒く丈夫な皮膚は、数多くのしわが刻まれ、厚さは2.5センチメートルもあり、木の皮のようだった。皮膚の下の脂肪層は、10-20センチ以上あった。これは寒さから身を守るとともに、氷や岩で体に擦り傷が付くのを防いでいたと思われる。 発見当時、ステラーカイギュウはすでに、コマンドル諸島などの限られた地域にしか生息していなかったが、10万年前の化石をみると、かつては日本沿岸からアメリカのカリフォルニア州あたりまで分布していたことがわかる。その後アリューシャンの島々にしか棲まなくなったのは気候の変化のためだが、12,000-14,000年前ごろにこの地域に人間が定住するようになったことも、部分的に影響しているかもしれない。 [編集] 標本 東海大学自然史博物館に、ステラーカイギュウの全身骨格標本が展示されている。これはロシアで捕獲されたものの複製である。 専門家によるステラーカイギュウの唯一の観察記録は、シュテラー自身によるものだが、鳥羽水族館では、これに基づいて、ステラーカイギュウの復元標本の作成が何度か試みられている。 北海道北広島市で発見されたステラーカイギュウ北広島標本は、北広島市中央公民館に展示されている。この化石は、唯一のステラーカイギュウ化石と言われていたが、後に房総半島でもステラーカイギュウの化石が発見されている。

その他

関連項目

  • ミクロラプトル(恐竜、獣脚類)
  • ミンミ(恐竜、曲竜類)
  • ムッタブラサウルス(恐竜、鳥脚類)
  • モシリュウ(恐竜、竜脚類)
  • モササウルス(海トカゲ類、海棲爬虫類)
  • モノクロニウス(恐竜、角竜類)

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